家賃が払えない時のリスクは?対処法や公的制度について解説

家賃が払えない時のリスクは?対処法や公的制度について解説

収入状況によっては、家賃が払えなくなる事態も考えられるでしょう。
もし賃料を支払えない場合、どのような問題が起こるリスクがあるのでしょうか。
今回は万が一の際の対処法や、払えない時に利用できる公的制度について解説するので、困った際は参考にしてみてください。

家賃が払えないときのリスクとは

家賃が払えないときのリスクとは

家賃が払えない場合に考えられるリスクとは何なのでしょうか。
以下で詳しく見てみましょう。

強制退去になる

家賃を払えないと、強制退去になる可能性があります。
ただし、支払いを遅延したからといって、すぐに強制退去になるわけではありません。
最初の数か月は遅延を通知する文書が送付されますが、その時点で支払いができれば通常どおり生活できます。
しかし、そのまま支払いに応じないと、連帯保証人へ代わりに支払うよう連絡が入ります。
さらにその後は催促状が送付されますが、これは最後の通告です。
催促状にも応じられないと、賃貸契約が強制的に解除され、強制退去となるのです。
その後は賃貸物件の明け渡しのため、訴訟を起こされてしまう場合もあります。
もちろん訴訟が起こされた場合、支払いができなかった契約者に非があるとみなされるため、多くの場合は勝てません。
強制退去になると住む場所がなくなり、新たな物件を探さなくてはなりませんが、金銭状況によってはそれすら難しくなるでしょう。

信用情報に傷がつく

賃貸保証会社を連帯保証人に設定している場合、家賃を払えないと信用情報に傷がつく恐れもあります。
基本的に信用情報に傷がつくのは、滞納が60日以上続いた場合です。
この期間以上家賃の支払いがないと、信用情報では「事故」としてリスト化されます。
信用情報に登録された内容は一生消えないと思ってしまう方がいますが、一定期間経過すると削除される仕組みになっています。
各々の状況によって具体的な期間は異なりますが、およそ5~10年が目安です。
ある程度の年数が経過すれば、事故を起こした記録は削除されます。
しかし、裏を返せば数年間は滞納した記録が残ってしまうと考えられるでしょう。
当然ながらその間はクレジットカードをはじめとする審査がとおりにくくなるため、生活に少なからず影響が出ます。
もっとも困るのが、スマートフォンを一括でしか購入できなくなる点です。
分割での支払いがとおらなくなるため、ボーナスや預貯金で購入するしかなくなります。

裁判を起こされる

最悪の場合は大家さんに裁判を起こされてしまいます。
裁判は大家さんが住民を退去させるために起こすため、勝訴判決が出ると強制退去が執行されます。
多くの場合は勝訴になりますが、この場合はどのような事情があっても強制退去させられてしまうため、場合によっては済む場所を失ってしまうでしょう。
また、裁判を起こされると、裁判所への出廷が必要です。
なかにはリストラや病気などの事情が絡んでいる場合もありますが、それらは家賃を払えない理由として認められません。

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家賃が払えない場合の対処法とは

家賃が払えない場合の対処法とは

もし家賃がどうしても払えない場合、どのような対処法があるのでしょうか。
以下で詳しく見てみましょう。

まずは現状報告と相談を

もし家賃が払えない状況になったら、その時点で大家さん・管理会社に相談しましょう。
黙って滞納し続けてしまうのと、事前に現状報告と相談があるのとでは、相手に与える印象が異なります。
また、短期間の遅延であれば、多少は見逃してくれる場合もあります。
本来は末日の支払いを、数日程度伸ばしてもらえる可能性もあるため、その間に家賃を準備して支払えば問題ありません。
また、もし先方が支払いを待ってくれる場合、いつまでに支払うのかを明確に提示し約束しましょう。
また、期日を延ばしてもらえた場合、必ずそれまでにお金を準備しておくのも大切です。
善意で対応してくれたのにも関わらず、支払いに対応しなかった場合、印象がとても悪くなります。

保証会社に連絡する

近年では物件を契約する際に、保証会社を介するケースが増えています。
保証会社は賃料を払えない場合、立て替えで対応してくれるため、目の前で遅延してしまうリスクの解消は可能です。
もちろん保証会社はあくまでも立て替えているだけなので、今度は保証会社から賃料分の料金を請求されます。
この場合も支払いの交渉が可能なので、立て替えてもらっている間に金銭状況を立て直すのが大切です。

連帯保証人に相談する

場合によっては連帯保証人に相談しましょう。
連帯保証人の意思しだいになりますが、もしかすると次回の家賃だけ代わりに支払ってくれるかもしれません。
基本的に連帯保証人は、契約者に何かしらの事情があり支払いが困難になった場合、代わりに対処する義務があります。
そのため、賃料を滞納すれば、いずれにしても連帯保証人に連絡が入ります。
個人的に交流がある連帯保証人なら、もしかするとお金を貸してくれる可能性もあるので、どうしても生活が厳しい場合は相談してみてください。

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家賃が払えないときに利用できる公的制度

家賃が払えないときに利用できる公的制度

賃料が払えない場合、どのような公的制度が利用できるのでしょうか。
以下で公的制度の仕組みをご紹介します。

住居確保給付金

住居確保給付金は、市区町村ごとに定める額を上限に、家賃額を3か月間支給する公的制度です。
場合によっては延長もでき、最大9か月間の支給を受けられます。
そのため、やむを得ない事情により賃料が支払えないときでも、生活を立て直すのに利用できるでしょう。
住居確保給付金は、どなたでも利用できる公的制度ではありません。
主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内、または個人の責任・都合によらず給与を得る機会が離職・廃業と同程度まで減っている場合に利用できます。
直近で世帯収入合計額が、家賃の合計額を超えていないのも条件です。
また、ハローワークへ求職申込をおこない、企業に仕事の応募をする点も条件となっています。
ただ公的制度を利用して終わりではなく、その後自分の力で生活を立て直す努力ができるかも重視されています。
支給額は世帯人数によっても異なりますが、たとえば東京都特別区の場合1人だと53,700円、2人だと64,000円が上限です。

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は家賃に限らず、さまざまな生活費の貸付をおこなっている公的制度です。
カードローンをはじめとした貸付とは違い、その日にお金を借りられる仕組みではないものの、公的機関による支援のため利子が少なく、費用負担が少ないメリットがあります。
生活福祉資金貸付制度には主に緊急小口資金と総合支援資金の2つに分けられます。
緊急小口資金は、リストラや休業など、一時的かつ緊急的にお金が必要な場合に利用できる公的制度です。
通常は10万円までが上限となっていますが、新型コロナウイルスの流行をはじめ、一定の要件に該当する場合は20万円まで借り入れできます。
また、無利子で連帯保証人を立てる必要もないため、緊急事態に役立つ公的制度といえるでしょう。
総合支援資金は、コロナの影響で収入が減った、または失業したなどの場合に利用できます。
貸付は基本的に3か月間で、1人暮らしの場合は15万円までです。
どうしても生活の立て直しが難しい場合、最大1年間まで延長できます。
さらに、コロナのように一定の条件に該当する場合、緊急小口資金と同じく無利子で、連帯保証人も必要ありません。

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まとめ

家賃が払えない場合、強制退去や裁判のリスクがありますが、早めの対処が重要になります。
滞納が続くと信用情報に影響が出るため、大家や保証会社への相談、連帯保証人への連絡などが有効なので早急に対応するようにしましょう。
また、住居確保給付金や生活福祉資金貸付制度などの公的制度を利用することも一つの対策となります。