賃貸物件の「管理費」とは?相場や管理費なし物件との違いについて解説

賃貸物件の「管理費」とは?相場や管理費なし物件との違いについて解説

賃貸物件に入居すると、家賃とは別に「管理費」を毎月支払うのが一般的です。
しかし、この管理費は何のために支払うお金なのか、どれくらいが相場なのかなど、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸物件で支払う管理費とは何か、金額の相場や、管理費なし物件との違いについて解説します。
賃貸物件への入居をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸物件の「管理費」とは

賃貸物件の「管理費」とは

まずは、賃貸物件の管理費とはどのような費用なのか、といった基礎知識について解説します。

管理費とは

管理費とは、文字どおり、賃貸物件の設備の維持や管理を目的に、入居者が毎月支払う費用のことです。
具体的には、以下のようなことに使われます。

●エントランスや廊下にかかる電気代
●共用部分で使用する水道の料金
●共用部分の清掃費用
●管理人の人件費
●エントランスの花壇の手入れにかかる費用


このように、管理費の使われ方としては、共用部分の状態を維持するための費用が主です。
入居者が各部屋で使用する電気代や水道料金などは、かかった分だけ支払うのが一般的ですが、管理費は毎月決まった金額を徴収されます。
そして、管理費の使い方について、とくに法律などで規制されているわけではありません。
また、同じ物件であっても、管理費の金額が異なる場合もあります。

共益費との違い

管理費のように、家賃とは別の費用として毎月かかる「共益費」というものがあります。
共益費も、物件の共用部分の状態を保つために必要な費用です。
では、管理費と共益費は、何が違うのでしょうか。
実は、この2つについて、意味合いが厳密に区別されているわけではありません。
賃貸物件によって、「管理費」と表現するケースもあれば、「共益費」としているケースもあります。
したがって、共用部分の費用として支払うのは、「管理費」もしくは「共益費」のどちらかであるのが一般的です。
管理費と共益費の両方を徴収する賃貸物件は、ほとんどありません。

管理費は非課税対象

管理費は、非課税対象であるため、税金は発生しません。
家賃と同様に、賃貸借契約書に記載されている金額をそのまま支払います。

賃貸物件の「管理費」の相場

賃貸物件の「管理費」の相場

管理費は、同じ物件に入居している方が気持ち良く生活するために、共用部分の状態を維持するために徴収する費用であることを前章で解説しました。
では、どれくらいの金額を支払うのか、相場についても事前に知っておきたいですよね。
そこで次に、毎月支払う必要がある管理費の金額の相場がどれくらいなのかについて見ていきましょう。

明確な基準はない

管理費がどれくらい発生するのかは、賃貸物件によって異なります。
金額の基準となるような規定は、とくにありません。
管理費の金額は、建物全体の共用部分にかかる費用を、住戸数で割って計算されるのが一般的です。
したがって、たとえばエレベーターがある物件は、ない物件より全体にかかる費用が大きいため、管理費も高くなります。
また、エレベーターがなくても、エントランスが広く、植栽などが多いような場合は、メンテナンス費用が多くかかることから、管理費が高いかもしれません。
さらに、住戸数が少ないと、一戸当たりの割合が大きくなってしまうため、管理費も高めに設定します。
管理費は、共用部分の設備などによって、オーナーや管理会社が独自で金額を決めているケースがほとんどなのです。

管理費の相場

管理費の金額について、法律などによる規定がないとはいえ、おおよその相場はあります。
なぜなら、管理費があまりにも高い賃貸物件は、入居者が集まらない可能性があるためです。
新築やグレードの高いマンションなどは高めに設定されている傾向にありますが、一般的な物件であれば、家賃の5~10%ほどが管理費の相場です。
たとえば、家賃が5万円であれば、管理費は2,500円~5,000円ほどになります。
家賃が10万円であれば、5,000円~1万円ほどになると予想できます。

支払い拒否は基本的にできない

管理状況などに不満を感じ、「管理費を支払いたくない」と思ったとしても、支払いを拒否することは基本的にできません。
管理費については、賃貸借契約書に記載されているため、支払いを拒否すると契約解除になってしまう可能性があります。
また、管理費は家賃と一緒に毎月支払うお金です。
家賃は、口座からの自動引き落としにしているケースが近年増えていて、そのときに一緒に引き落とされます。
ただし、管理費だけを半年や1年分、まとめて支払えるケースもあります。

賃貸物件で「管理費」を支払う物件といらない物件との違い

賃貸物件で「管理費」を支払う物件といらない物件との違い

賃貸物件のなかには、管理費を支払う必要がない物件もあります。
では、なぜ管理費を支払わなくても良いのでしょうか。

管理費なし物件の仕組み

管理費の相場が家賃の5~10%であると考えると、管理費を支払う必要がない物件は、お得感があるかもしれません。
しかし、そのような物件のほとんどが、管理費込みの家賃を設定しています。
たとえば、家賃が5万円、管理費が3,000円であれば、管理費込みで5万3,000円と記載しても、実質かかるお金に変わりはありません。
管理費は、借主の部屋に直接関係する費用ではないため、借主にとっては余計や出費のように感じてしまいます。
しかし、管理費なし(管理費込み)で5万3,000円と記載することで、毎月の支払額がわかりやすく、無駄な支払いがないような感覚になるのかもしれません。

管理費なし物件が損をする場合

管理費がいらない物件は、お得感があるかもしれませんが、損をすることもあります。
なぜなら、入居する際にかかる敷金・礼金、仲介手数料といった初期費用や、更新する際の更新料は、家賃を基準に計算します。
たとえば、初期費用は家賃の4~6か月分が目安ですが、管理費なしの物件で5万3,000円の家賃であれば、初期費用は21万2,000円~31万8,000円です。
しかし、毎月支払う金額が同じであっても、家賃が5万円、管理費が3,000円であれば、初期費用は20万~30万円になります。
つまり、管理費を徴収しない分、家賃が高めであれば、本来基準とならない管理費も含めて計算されるため、初期費用や更新料で損をしてしまうのです。

管理費なしの物件のほうがお得な場合

サラリーマンの方が賃貸物件に入居する際、会社からの補助を受けられるケースもあるでしょう。
しかし、補助は家賃のみで、管理費は自分で負担するという規定がある会社の場合は、管理費なし物件がお得です。
たとえば、家賃が5万円、管理費が3,000円であれば、会社からの補助は5万円のみで、管理費の3,000円は自分で負担しなければなりません。
しかし、管理費なし物件であれば、5万3,000円の補助を受けられます。
ただし、家賃をどのように補助するのかは会社ごとに規定があるため、賃貸物件を借りる際には、どのような補助が受けられるのかを確認してください。
このように、管理費なしとうたっている物件でも、実質は管理費を含めた家賃を設定しているケースがほとんどです。
したがって、賃貸物件を比較する際や、生活費のシミュレーションをする際には、管理費も含めた固定費として考えることが大切です。

まとめ

賃貸物件の管理費は、共用部分の状態を維持するために使われるお金で、家賃と一緒に毎月かかる固定費です。
管理費の相場は、5~10%ですが、設備やグレード、住戸数によって異なります。
物件の情報に、「管理費なし」と記載されている場合は、初期費用や会社の補助など、トータルで考えて実際にお得なのかどうかを見極めて検討しましょう。